海辺では、先ほどの老人の影が夕日にてらされて電信柱より長くなっています。
その影を、横切るように漁師さん達がお魚のいっぱい入った網をぶら下げながら通り過ぎていきます。
「じんば大漁ちゃ」といいながら、大きなお魚2匹と小さなお魚を8匹、老人に差し出しました。
老人は、少し嬉しげに、それでも静かに言いました。
「そんなに、いらんよぉ」「そんなに、とらんでもええよぉ」
その言葉は、照れ隠しも有りましたが、思いは別にありました、
海から頂戴する恵みは、今日食べる分だけでいいのです...
そうして、焦点の定まらないまま、海の向こうを見つめてつぶやきました。
「獲りすぎると怒りよる」