ゴンベッサのみる夢
関 由美 ふう ゴンベッサの進化
見たことのない海、南の蒼い海、ひっそりと、ゆっくりと...
世界最大のシーラカンスとの出会いに触発されて、彼らの棲むところを心に思い浮かべながら...
2009年春、徳島のシーラカンス展から帰って、最初に創った作品です。
未完成のあばれ玉ですが、表現したくて、いてもたってもいられない感じがにじみ出ています。
この後、3年の間関由美のゴンベッサは眠ることになります。
色々な夢を見ながら...
ゴンベッサとは、シーラカンスの事です。
最初に発見されたのは南アフリカのコモロですが、現地ではシーラカンスを「ゴンベッサ」と呼んでいます。
そもそもゴンベッサとは「食えない魚」という意味なのですが、
近年では、漁に出て釣り上げると高く売れので「幸せを呼ぶ魚」という意味で使われているそうです。
2012年6月
関さんから、こんな感じで創ろうと思うけど意見を聞かせてほしいと連絡がありました。
ケーキを美味しくいただいた後、寂しげなお皿を眺めていると、そのお皿に「どうぞ、これです見てください」とゴンベッサの試作が置かれました。
忘れてなかったのですね、諦めてなかったのですね。
思わず出た言葉が、おはようでした。
2013年に入り、作家:関由美の創るゴンベッサがどのように育っていったのか、見てみたいと思います。
ゴンベッサが棲んでいる海をイメージして、藍色が濃くなりました。
大きさも少し大きくなり、以前より力強さが感じられるようになりました。
2014年に入ってからのゴンベッサです。
まず、ネックレスにする際の穴に工夫が見られます。
身に着けない状態で、オーナメントとしても違和感なく使えるようになっています。
そうして、全体的に有機物特有の俗に言うところの生物の雰囲気が表現され、作品に深みが出てきたように思われます。
そうして、今回ご紹介する珪藻を抱いたゴンベッサが誕生します。
「幸福をもたらす魚」ゴンベッサの棲む海の中を想像しながら。
海底で長い長い時をどのような夢を見ていたのだろう、などと思いを馳せながら...
その表現として使われたのが珪藻でした。
ゆっくりと、確実に、進化の手ごたえが感じられます。
2015/11/20 13:23 Update