ぼくのいろ ものがたり
2017年11月28日(火)
白い世界で生まれたカメレオンがいました。【1】
彼はどこもかしこも真っ白な故郷が嫌いでした。
「僕はもっとたくさんの色を見て見たい」
そこでカメレオンは1人旅に出たのです。
はじめて見たのは青々とした緑色の世界。
綺麗な緑色の葉っぱに触れて、目を輝かせました。【2】
カメレオンが夢中で緑色の世界を眺めていると、
不思議なことに、葉っぱが赤色に変わっていきます。
ふと顔を上げたカメレオンは、夕日で赤色に染まる世界を見たのです。【3】
燃えるような鮮やかな赤色の世界は、
やがて滲むように、紫色から紺色、そして夜の色へと変わっていきました。
夜の空にはたくさんの星が輝きました。
赤色の星、黄色の星、どれもきらきら、瞬いています。
カメレオンは何時間も夜空を見上げていました。【4】
すると夜空は次第に灰色の雲がかかり、
ポツポツと雨が降りはじめました。
カメレオンは葉っぱの下で雨を避けながら過ごしました。
次の日の朝、カメレオンが目をさますと、雨は止み、まん丸のお日様が登っていました。
寝ぼけまなこのカメレオンが空を見上げると、
そこには大きな大きな7色の虹がかかっていました。
はじめて虹を見たカメレオンはびっくり大喜びです。【5】
赤色、橙色、黄色、緑色、青色、藍色、紫色
カメレオンが見たかった様々な色が、そこには全部ありました。
カメレオンを虜にした7色の虹は、
ゆっくりゆっくりと、空に滲んで消えていきました。
虹のあった場所をぼんやりと眺めていると、
ふんわりした雲が漂ってきました。
青い空に浮かぶ、真っ白な雲は、
とてもとても綺麗でした。
雲の白、花の白、星の白、光の白。
同じ白でもそれぞれ違う白い色は、とても美しく輝いて見えました。【6】
カメレオンは故郷へと帰りました。
同じ白い色の世界でも、よく目を凝らせば、違った色に見えるということを、カメレオン知ったのです。
物語り 関 由美
【番号】は、作品が創られた6つの場面です。