「魚モザイク」は、2009年10月に発表されました。
魚を取巻く石の質感は「森との境界にあるもの」で使用されている石版を思わせます。
自然界が残した遺産という宝物感と、遺産に付き纏う独特な雰囲気にその共通性が感じられる作品です。
以前モザイクについて説明させていただきましたが、この作品も同様にモザイクケーンの制作から始まります。
この作品のようにケーンを贅沢に多用し創られたものについては、一つ一つ異なる表情が現れ、似たものはあっても同じものは二つと無いという事は言うまでもないのですが、
さらに、そのケーンを使い切ってしまうと、その似た作品すら創ることが難しくなってきます。
一昨年、当初引いたケーンが無くなり、創れない状態が続いていました。
私も、もう新たな魚モザイクを見ることはできないだろうと思っていましたが、周囲から復活を望む声が多く、それに応えていただくかたちで、今年に入り新たにケーンを引きなおし、制作していただくことができました。
「魚モザイク」の素晴らしい世界を紹介していきたいと思います。
それではみなさま、うちだまの魅力を存分にお楽しみください。
まずは、系統樹にて魚モザイクの位置づけを確認していきましょう。
ご覧いただいてお解かりのように、古代の花とは別系統から発生した六つ有るモザイクの中の一つです。
図で見ると、森との境界に至る過程で「仮面モザイク」より派生し「廃墟」への橋渡しをしています。
森との境界に連なるものであることは明白です。
それではさっそく新しい「魚モザイク」をご覧いただくことにしましょう。
続いてご紹介するのは、展開図です。
作家からすれば、とんぼ玉という制約の中で表現したものを平面に展開されるのは、如何なものかとお思うことでしょう。
事実、この魚モザイクを含めて、内田敏樹のとんぼ玉は共通してどの方向から見ても破綻することはありません。
しかし、それでも、この作品は回転させることなくその全体像を見たい衝動にかられます。
それでは、10種類の魚モザイクの展開図をご覧ください。